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屋敷ではおばあちゃんが待っていてくれて、いつも座っている木製の前後に揺れる肘掛け椅子に座っていました。
「ただいま」
と私が言うとおばあちゃんは優しく微笑んで
「おかえり」
と言ってくれましたが
「…沙夜…おいで…」
と言って少し厳しい顔をして言いました。
私は気持ちが見透かされたような感覚に襲われておばあちゃんのところに行くのが怖くなりましたが、いい機会かもしれないと思いおばあちゃんの前に座り
「何?おばあちゃん…?」
と聞くと
「沙夜…お前は魔力が無い魔女…でも魔女の子には変わりはないのです…」
いつもの声色で言うおばあちゃんは何故か悲しそうな顔で…。
私はおばあちゃんの言葉に頷きました。
「沙夜…貴方の母親は私に貴方を預けました。だから立派な西洋妖怪の魔女に育てる義務があります…」
そこまで言うとおばあちゃんは私の頬に手を置き
「けれど…もし人を好きになってしまったのであれば…それは仕方のない事かも知れません…」
私は驚いて目を丸くしました。
おばあちゃんの言葉にも驚きましたが、何より驚いたのはおばあちゃんの瞳から一筋の涙が流れていた事です。
するとおばあちゃんは椅子から離れて私を抱きしめ
「ごめんなさい…沙夜…今まで…ごめんなさいね…理由はまだ…私の口からは言えないけれど…謝らせてちょうだいね…」
と言って優しく包みながら理由のわからない謝罪を何度もされました。
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