第一章

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そう言った時の聖の顔。 思わず裕貴は後ずさりした。 本当に欲しいと願い続けた玩具をやっと手に入れた子供のように、聖は笑っていた。 「…分かった。 その条件、のむよ。」 裕貴は震える声を抑え、やっとの思いでそう伝えた。 「契約成立…だな。」 まるで、ニッと笑う効果音が聞こえてくるんじゃないかって錯覚するくらい、聖は楽しげだった。 「ゲームは明日からだ。 最初で最後かもしれねぇし、今日くらいは親切にしてやるよ。 お前らも、今日は我慢しろよ?」 その一言に裕貴は頷き、周りにいたクラスメイトもそれぞれ適当に返事を返した。 「じゃあ後は智に任すわ。」 今までずっと黙って成り行きを見守っていた智に聖は言った。 「本当に聖は勝手だな。」 智は不満げにぼそっともらした。 聖は聞こえていたのか、後ろにいた智に振り返る。 「けど、嫌いじゃない…だろ?」 「…まぁな。」 聖と智が2人で笑いあう-。 その光景は裕貴には信じられなくて。 (笑えるのかよ…。) 裕貴の胸が、ほんの少し痛んだ。
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