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空気は青色に澄んでいた。
莉子はその空気と同じように…その大きなキャンパスを青く染めてた。
秋の綺麗な空に立体的な雲を漂わせるには至難の技を要したが彼は筆の思うままに動く…。
ちょうど雲が順序よく並んだ所で声がした…。
「アフタヌーンティはどう?」
開きっぱなしのアトリエの戸をノックしながら莉子の肩にそっと触れた。
「あ…もうそんな時間かぁ…。」「ありがとぅ…。」
「まだ少しなら展覧会まで時間があるんだらそんな急がなくていいんじゃない?」
「いや…俺は描きたいときしか進まないんだよ…。」
「気まぐれな画家ねぇ…」
清楚な顔をしてエリーが言った…。
「無理やり描き上げるのは嫌なんだ。」
と彼女が持ってきたコーヒーを口に含む。
「そうだ!帰りに家に寄ってかない??いいワインがあるのよ!」
……一間を置いて莉子が答える……
「うん…わかったよ。今日は寄ってくよ。」
「やったぁ!そしたら帰りにね。」
「うん…。」
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