好きだから

恋

「あれ…山下じゃん。お前、図書委員だったん？」
「うん。はい、これ返却したから。こっちが貸し出し？」

その時は、はっきり言って意外な気持ちでいっぱいだった。

確か野球部に所属していて、体育が好きそうなイメージがあった彼が図書室に来るなんて、しかも本を借りるなんて……正直、想像してなかったから。

「うん、そう」
「わかった。ちょっと待ってて」

しかも、彼が私に差し出したのは、私も読んだことのある、あまり男子が読まなそうな本。

野球部の男子は、普段ちょっとエロい雑誌読んでるみたいだったから、少し驚いた。