仮初めの 羽

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からだをぴたりと寄せて、篤史の手のひらがあたしの耳あたりを覆っている。 体温も鼓動も、すべて流れてゆきそうなくらい- 心地よい温もり。 克志の首もとに顔をうずめ、あたしは馬鹿みたいに固まっていた。 『…か、つ』 『可愛いよ、ほんまに』 克志のテノールが、あたしの言葉を遮る。
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