初めまして

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目の前には美青年と美中年の間にいるような、整った顔立ちの美男子。 椅子に座ってるから解りにくいけど、身長、私と大差ないはずなんだよね。 「殿、この娘が私の娘でございます。血こそ繋がっておりませんが、私が跳ばされた時空間にて歴史を学ぶ者でございました。そしてその時空間の記録には殿の名がございました。私の娘は跳ばされた時空間で殿が成し遂げられなかったことを遂げさせる為、働く所存にございます。どうか、私共々お使いください。」 多くの人々に囲まれ、怖いとは思う。 だけど、話さなきゃ。 「お初にお目にかかります、乱世の奸雄殿。元の名は呼びにくい音ですので、捨てさせていただきました。両夏侯将軍のご厚意により今を以て、私は名と共に殿の配下へと生まれ変わることになります。以降は姓を蔡、名を蓮、字を月姫と申します。どうか、お見知りおきを。」 北京語だからか、聞き取り難いのだろうか? 「殿、娘は倭国の生まれ。遠い未来で、この地で使われる言語しか知りません。聞き苦しい点は少なからずあるかとは思いますが、平にご容赦願いたく存じます。」 ただ平伏するしかない。 私が望むのは、この方。 この、乱世でなければ欲を抱かない気高く強い英雄。 「私は、殿が望むのなら、未来での知識を話しましょう。そう、例えば、両夏侯将軍らしか知らないような昔の渾名でも引っ張り出しましょうか?鬼の北部尉とも呼ばれ、今や司空とならせられた殿の、嬉し恥ずかしの思い出話を。」
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