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俺はすぐに顔をあげた。
見ると一人の女が俺に傘をさしてたんだ。
その女がカレン、君だった。
「…君みたいな人には関係ないよ……」
俺は追い払うように言った。
なのにカレンは俺に傘をさしたまま、俺の隣に座った。
「でも、風邪ひきますから。それに、そんな悲しい顔をしてる人を放っておけません。」
悲しい?俺が?
そんな顔してるのか?
「何に悩んでるんですか?」
「お前、わかるのか?」
「分からない。けど悩んでる顔をしてるから。」
「お前はキャット族のハーフだろう?自分の運命が嫌いにならないのか?」
「……最初は嫌でした。ハーフなのに耳あるし。だけど、こんなことで負けたら私の運命は何だったんだって、それこそ思うから………」
「……私は誰かに言われて生きてるんじゃなくて、私自身のために生きてるんです。」
「自分自身のため……………」
カレンは立ち上がり俺に傘を渡して、笑顔で帰って行った。
そんなカレンを俺はずっと今まで好きだったんだ。
そして今も…………
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