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はねるのトびら
「このお酒、おいしい?」
高橋は徳利を指差しながら言った。
「……はい」
隣に座る男はゆっくり頷いた。
「しかし、雨止まないね」
庭を見ながら高橋は言った。
「そうですね。でも、明日の朝には止むと思います」
男は答えた。
高橋は男を見た。
最初に感じた暗い雰囲気が少し消えかけてるような気がした。
「君って結構喋るよね」
「そうですか?無口だと言われた事は無いですが、お喋りと言われた事も無いですよ?」
男は不思議そうな顔を高橋に向けた。
「いや、君みたいな人って全く喋らない人が多いから」
「僕みたいな人?」
男が自分を指差すと、高橋は頷いた。
「君みたいな、生きていない人は」
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