ザ・ベストハウス123

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六人が屋上で話をしていた頃、野久保は一人で非常階段に座っていた。 自分が第一発見者になった日の事を、野久保はよく覚えていた。 始業式の次の日の朝だった。野球部に入っていた野久保は、朝練の為に他の生徒が起きるくらいの時間にいつも学校に来ていた。その日も変わらずに朝日が完全に昇りきっていない時間に野久保は校門を通った。 校庭を横切って校舎の角を曲がった所に、いつもと違うものがあった。 田村先生が、仰向けに倒れていた。 そして、そこを中心に血溜まりが広がっていた。 「先生……?」 恐る恐る野久保は近付いた。 しかし、どう見ても死んでいるのは明らかだった。 さらに野久保はとんでもない物に気が付いた。 田村先生の全身には、刺されたような傷が数えきれないほど残っていた。 その後、警察がやって来て生徒たちは全員下校となった。 しかし、その騒ぎに紛れて屋上へ行った生徒がいた事を野久保は後で知った。 その生徒たちは、屋上にあった争った跡と血痕をはっきりと見ていた。
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