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夜の学校、それも廃校になった高校というのは、何かが出そうな雰囲気で一杯だった。
その様子に初めに入る事を提案したつるのさえも、少し冷や汗をかいた。
「ノ……ノック、ここで一番幽霊が居そうな場所ってどこ?」
つるのは声が震えそうになるのを必死に堪えながら聞いた。
しかし、返事は帰って来なかった。
「ノック?」
つるのが振り向くと、野久保はじっと校舎を見上げていた。
「ノック!」
上地が近付いて強く野久保を揺さぶると、野久保は我に帰ったように上地を見た。
「ど……どうしたの、ノック?」
「何か……いたの?」
木下とスザンヌが恐る恐る聞いたが、
「いや、久し振りだなって思って」
野久保はそう言って歩き出した。
「いつも、さっきの門を通って学校に入ってたんです。それで、校庭の横を通って……」
野久保はかつて自分が歩いていた道をたどっていた。四人は野久保の話を聞きながら心配そうに後を追った。
「そして一号館の角を……」
校舎の角を曲がって、野久保と後からやってきた四人は突然止まった。
校舎の影に、人がいた。
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