ザ・ベストハウス123

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その場を静寂が覆った。 校舎の影にいる人は黒いスーツを着ているのが分かるが、顔は暗くて見えない。その人はなぜか校舎に向かって手を合わせて拝んでいた。 「誰……?」 なんとか木下が声を絞りだして聞いた。 しかし、返答は無かった。 「もしかして……ジャンプ遊園地のハンター?」 つるのが黒スーツを見て昔やった鬼ごっこを思い出し、聞いた。 「それは無いでしょ」 さりげなく野久保がツッコんだ。 「田村……先生?」 スザンヌが恐々聞いた。 「違いますね。もう一人の田村先生ですよね?」 野久保が一歩前に出ながら言った。 「もう一人?」 上地が後ろから聞くと、野久保が説明した。 「田村って名字の先生、二人いたんです。一人は死んだ金髪の先生、もう一人は……」 黒スーツの人が校舎の影から出てきた。黒縁眼鏡をかけた男だった。 「校長です」 野久保は静かに言った。
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