ザ・ベストハウス123

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上地は暗がりの丁度血痕の隣に花束が置かれているのに気が付いた。 「あの花は、校長が?」 上地は花を指差して聞いた。 隣で校長が無言で頷いた。 「……って事は、この上から?」 上地が校舎を見上げた。 「そういえば田中と山根が言ってたよね。屋上に行ったら血痕があったって。それで、警察が屋上で切り付けられた後に突き落とされたって話してるのを聞いたって」 木下が校舎を見上げながら言った。 「……あの、どうしても聞きたい事があるんですけど、いいですか?」 つるのは突然振り向いて後ろに立っている校長の顔を真っ直ぐに見た。 「ん?」 「ここで田村先生を殺したの、校長先生ではないですよね?」 昼間、四人が田中と山根からベストハウス高校の事を聞いた時に、一つの噂の話が出た。 「先生が死んだ直後、ある噂が流れたんだ」 「噂?」 田中は、自分たち以外誰も屋上にいないにもかかわらず声を潜めて言った。 「校長が殺したんじゃないかって」
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