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善意と言う名の刃を振り回すその主婦に、殺意と憫笑がないまぜになった視線を向けていることに、彼女は気付いていないだろう。
持て余した時間と添い寝しながら、親切という大義名分のもと他人を観察して楽しんでいる。
(あんたが心配している猫はいないよ。私が殺したんだから…)
満面の笑みで伝えたらあの女はどんな顔をするのだろう。
死んだはずの猫が鳴いて、また私を笑っている。愛憎をともわない殺意は秋の風に似ているな、とひとりごちする私の髪を、秋の冷たい風がなぶっていく。
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