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「よう、派手にやられたらしいな?息子。」
話し掛けてきたのは筋肉質のオッサンもとい、王国三雄騎士の一人
『アディエル・ディオ・カイラル』
セリウスの父親だった。
「今は冗談に付き合っていられる気分じゃない。
用が無いなら行くぜ?」
「つれねぇな?
もちっと余裕もとうぜ。」
ニカッと笑うアディエルにセリウスは、わけが分からないと言った風に怒鳴る。
「何で親父殿も!陛下も!そんな風に笑えるんだ?!」
しかしアディエルは何でも無いという表情で言う。
「そりゃ信じてるからじゃね?」
それが源泉なのだろう。
"信じる"綺麗事といえば綺麗事だろうセリフを、だけど信念を持って貫ける。
それは一種の強さなのかもしれない。
故にセリウスは反論出来ない。
平民から騎士になり雄騎士と呼ばれ、爵位と直轄領の一部を委譲されて今に至る偉大な父親に。
これが
自分の
越えるべき背中なのだとはっきり自覚する。
だから今言えるのは、罰を求める弱音ではなく・・・
ただ一つの言霊。
「やるさ!」
これが決意の言葉。
単純明快な意志。
こうして彼の物語は動き始めるのだった。
第二章に続く
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