第一章『魔竜王』

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「よう、派手にやられたらしいな?息子。」 話し掛けてきたのは筋肉質のオッサンもとい、王国三雄騎士の一人 『アディエル・ディオ・カイラル』 セリウスの父親だった。 「今は冗談に付き合っていられる気分じゃない。 用が無いなら行くぜ?」 「つれねぇな? もちっと余裕もとうぜ。」 ニカッと笑うアディエルにセリウスは、わけが分からないと言った風に怒鳴る。 「何で親父殿も!陛下も!そんな風に笑えるんだ?!」 しかしアディエルは何でも無いという表情で言う。 「そりゃ信じてるからじゃね?」 それが源泉なのだろう。 "信じる"綺麗事といえば綺麗事だろうセリフを、だけど信念を持って貫ける。 それは一種の強さなのかもしれない。 故にセリウスは反論出来ない。 平民から騎士になり雄騎士と呼ばれ、爵位と直轄領の一部を委譲されて今に至る偉大な父親に。 これが 自分の 越えるべき背中なのだとはっきり自覚する。 だから今言えるのは、罰を求める弱音ではなく・・・ ただ一つの言霊。 「やるさ!」 これが決意の言葉。 単純明快な意志。 こうして彼の物語は動き始めるのだった。 第二章に続く
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