21人が本棚に入れています
本棚に追加
表ヒロミチは中学三年生。受験を間近に控えた、忙しい時期の筈である。
だが、ヒロミチは勉強していなかった。
「別に東洋でいいさ……」
と思っていたからだ。
自分の学力なら東洋でも楽々入れる。事実だが、なんともやる気の無いこと。
それでも、本人がそれでいいと思っているのだから、それでいいのである。
今の季節は冬。年が明けてすぐの時だった。
ヒロミチは、友人の西山ショウタ、萩ユウキらと共に夜の町を閣歩していた。
定期パトロールである。
この三人は学生であると同時に、兵庫県警特別措置課独立行動小隊『不良キラーズ』の隊員達であった。
彼等がこなす仕事はひとつ、町行く不良どもを片っ端からリンチすること。例え何も悪事を働いていなくてもである。
不良とおぼしき人影を見付けたら、とりあえずチェーンソー片手に突っ込んで行くのである。
なんと傲慢な人達なのだろう。
だが、そのおかげで街から不良の姿は消え、住みよい街が作られた。
しかし、その安息も束の間、強大な反抗勢力が立ち上がった。
総長クワマンを頂点とする『レボリューショナルバッドボーイズ』。
『不良キラーズ』三人に対し、『レボリューショナルバッドボーイズ』はおよそ五十。絶望的戦力差だ。
だが、表ヒロミチはクワマンに言った。
「お前達のやっていることは、It's テロリズム」
なんと勇敢な言葉か。まさに正義である。
三と五十が対峙する中、闘いのゴングが夜の町に鳴った。
最初のコメントを投稿しよう!