花と刺の物語

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刺の分まで愛されると決めたのです。 花はそれきり、一度も刺を付けることはありませんでした。 (ありがとう。もう、逝くよ。) (ありがとう。さようなら、) 花は、刺の最後の言葉をただ心で繰り返します。 ただありがとうと繰り返した刺を想い、花は今でも咲き続けております。 それは幸せそうに、時折悲しげに、人々を魅了しているのです。
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