3人が本棚に入れています
本棚に追加
大事に育てられたお姫様だったから、自分はもちろん、他人の血だって見たことなかったのよ。
それでね、笑ったんですって。
お姫様は言ったわ。
「なんて…なんて綺麗なの。こんなに綺麗なものがあったなんて。こんなに綺麗な赤、ルビーにだって見たことないわ。」
彼女は目を輝かせて、夢中になったのよ。
だってそうでしょ?
林檎の赤も夕焼けの赤も、炎の赤も、宝石だって血の赤は出せないもの。
よく似ているけれど、違うの。
そう、ちょうど私と貴女みたいにね。
それでね、その日からお姫様は、ソレを探し続けたの。
私はすごく不思議だったわ。
御祖父様はね、彼女は何も知らなかったから、人間を傷付ければソレが手に入るだなんて、知らなかったんだって教えてくれたの。
だからお姫様は、かのフランスの女帝のようにはならなかったのよ。
でもね、ある日突然、それはやってきたの。
お姫様がお散歩に街まで出てきた時に、一軒のお家の庭に、それは綺麗な花を見つけたんですって。
お付きの使用人もその花に見取れていたのね。
最初のコメントを投稿しよう!