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「―――ネム。…今、何と言いました?」
お茶会の最中。
一面花の咲き乱れる平野にテーブルに用意された紅茶と茶菓子を楽しみながら、いつものメンバー(三月兎は留守)で和気藹々(?)と会話に花を咲かせていた時に、眠り鼠のネムがぽろりと言ってしまった言葉がきっかけだった。
「―――昨日、私の預かり知らぬところで、姫と、仲良く会話を、していたんですね?」
黒が基調のゴシックスーツとシルクハットを華麗に着こなした帽子屋ハッターは、隣で座っているこちらも黒を基調にしたラフな格好をした、ネムの何気なく言った“皇女”という言葉に反応し、紅茶を一口飲むとカップをテーブルにそっと置いた。
「いや、僕は皇女殿下に呼ばれて少しの間、仕事と料理の話をしただけなんだけど、――…‥って、あの、ハッター?」
ハッターの様子が僅かに変わった事を敏感に察知したネムは、たじろぎながらも彼の勝手に解釈した言葉を訂正した。が、当人の耳には最早ネムの言葉など微塵も届いていなかった様で、微動だにしない(自称)“紳士”の眼に宿る怒りともつかない負のオーラをネムは全身で感じた。
「言い訳は結構です。…ネム、覚悟は宜しいですね?」
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