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力いっぱい走って、息が苦しくなったところで止まった。
ここは家の近くの公園だ。
「はぁ……」
千緒はとりあえずブランコに座った。
軽く揺らしながら頭の中を整理してみる。
あたしの家が天国や地獄と同じ環境。
悪魔と天使の反対勢力の堕天使は、人間を滅ぼしたがっている。
堕天使は、家主のあたしを殺してでも人間界唯一の聖域を欲しがっている。
…あたし死ぬんじゃないか?
でも、身に危険があると分かっていても、あたしはあの家を捨てることはできない。
だって、父さんと母さんが遺してくれた一番大きな遺品だから。
「……って、何であたしはあいつらの話が正しいことを前提で考えてんのよ!!」
そうだ、あいつらはただの変質者なんだから、信じる必要はないのよ。
そう思うと少しだけ楽な気がする。
(でも…これからどうしよう)
この先の学校生活を考えると、ため息しか出てこない。
あいつらがどんな性癖を持ってるにしても顔がいいのは事実だ。
自然と注目を集める。
あたしは注目をされるの苦手なのに。
「はぁ………」
ため息しか出てこない。
千緒が項垂れて2回目のため息をついたそのとき。
「お嬢さん、ため息をつくと不幸がやってきますよ」
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