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「千緒に触るなぁっ!!」
ドンッと大きな音を立てて男と千緒の間の土が弾けとんだ。
思わず目を瞑った千緒を、暖かい何かが包む。
「お怪我はありませんか?千緒さん」
「シロナ!!」
千緒はシロナに抱き上げられていた。
その横には銃を構えたクロロの姿が見える。
「二人とも……何で」
シロナに降ろしてもらった千緒は二人を見比べる。
「何で、じゃねぇよこのバカ!!
堕天使なんぞに捕まりやがって!!」
「えっ?」
クロロの怒声に身を竦めながら、千緒は男を見た。
目が合うと男はニコリと微笑み胸に手を当ててお辞儀する。
「初めまして、千緒ちゃん。
堕天使、レオです」
ニコニコと笑うレオの頭に、クロロは銃口を押し付けた。
「さっさと行け。でないと殺すぞ」
ドスの聞いたクロロの言葉を、何故かレオは笑う。
「嘘ばっかり。天使同士は殺し合いできないの、分かってるでしょ?」
「お前は天使じゃねぇ、堕天使だ」
「それでも天使には変わりないでしょ?」
レオは笑いながら、銃を持ったクロロの手を叩き落とした。
そしてフワリと空に上がる。
その背に負う大きな翼の色は、灰色。
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