5555人が本棚に入れています
本棚に追加
「あーあ、せっかく2年ぶりのチャンスだったのにさぁ、番犬くんが邪魔しちゃうんだもん」
レオはヒラリと身を翻した。
「またね、千緒ちゃん。
今度は、邪魔者なしで会おうね」
優美に笑い、彼は飛び去っていった。
空を忌々しげに睨んでいたクロロが、パッと千緒に向き直る。
「怪我はねぇか?」
「あ、うん。大丈夫……」
「本当か?」
クロロが千緒の身体をじろじろと全身くまなく見渡す。
そして肘に目を止めた。
「怪我してんじゃねぇか!!
俺さまに嘘つくんじゃねぇよ、このガキが!!」
「えっ…」
見ると、確かに右肘が擦りむけて血が滲んでいた。
いつの間に。
「ったく、バカが……。今すぐ治療してやりたいところだが……」
クロロは言葉を濁し、思い出したように天の姿に戻った。
そして窺うように千緒を見る。
「……今からお前ん家行きたいって言ったら怒るか?」
「え…?」
「いや、俺は天使だから力を使えばそんな傷、跡形もなしに消せるんだが、ずっと羽根出してたもんだから……」
「え、あの短時間で疲れるの?」
ダメダメじゃん。
燃費悪っ!!
「短時間じゃねぇよ!!
お前が学校飛び出してからすぐ陸を回収して二人で飛び回ってたんだ。どっかのワガママお姫様のためにな」
「え……」
千緒は驚く。
あれから何時間たったんだろうか?
「連続で羽根出しとくのって疲れるんだからな。
ああっ、陸!!」
背後でバタッと音がしたと思ったら、シロナが倒れていた。
羽根は出したままだ。
「こんのバカ、さっさとしまえってのに!」
「いいわ、うちに運んでちょうだい」
千緒が慌てていうと、天はニッコリと笑った。
最初のコメントを投稿しよう!