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「ははっお前顔真っ赤」
「っうるさい!! 何よ今の!」
殴ろうとした千緒の手は、あっさりと天の大きな掌に包み込まれる。
「怒るなって先に言ったろ?
見てみろよ腕」
「え……」
「治ってる、だろ?」
言われて見てみる。
そこは怪我をしていたのが嘘みたいに、綺麗に傷が消えていた。
「天使の唾液は人間の自己再生能力を促進させる力がある」
「そっ……それなら早く言ってよ!!」
「言っても聞かねぇだろ?
お前頑固なんだから」
「頑固って何よ!!」
「ん……」
声が煩かったのか、陸が小さく呻いた。
慌てて千緒は口をつぐむ。
「…ねぇ、ホントにここにいるだけで回復するの?
まだ真っ青じゃない」
「回復はしてるさ。だが消耗激しかったからなぁ、時間はかかるだろ」
「もっと早く回復できないの?あまりにも辛そうじゃない」
「もっと早く、ねぇ……」
天は顎に手を当てた。
「……文句言わない?」
「言わないわよ、病人のためじゃない」
「その言葉忘れんなよ。
お前、そいつの口の中に指突っ込め」
「………は?」
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