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「すみません、なかなか起きてこないので、お迎えに来ました」
「起こさなくていいの!
勝手に起きるんだから」
部屋に入られるだけでも嫌なのに、さらに寝顔を見られるなんて。
ていうか、同居二日目の朝からルール破るなよ!
-+-+-+-+-+-+-+
「空いてる部屋は2つしかないの。大きい部屋と小さい部屋、どっちがいい?」
千緒は荷物を運び込んできたクロロとシロナに言う。
「そりゃあもちろん大きい方だろ」
「僕はどちらでも」
「じゃあクロロがこっちの部屋ね。シロナがこっち」
彼らの部屋をそれぞれ指す。
するとクロロは眉を寄せた。
「おい、何で俺の部屋は離れてるんだ?」
「え?」
そんなこと言われても、と千緒は言う。
「大きな部屋は両親の部屋だもの。
それに離れるっていってもたったの何メートルじゃない」
「でもシロナはお前の隣じゃねぇか」
「シロナの部屋はお兄ちゃんのよ?兄妹の部屋が隣どうしなのは当たり前よ。
ていうか、文句あるなら出てってくれる?」
クロロはグッと言葉に詰まる。
そして渋々といった様子で頷いた。
「仕方ねぇな……」
荷物を部屋に入れ始めようとするクロロたちに千緒は、待って、と声をかける。
「何だよ」
「ここに住むルール。細かいことはその都度言うけど、絶対守らなきゃいけないのはこれね」
と、千緒が渡したのは小さなメモ。
そこには丸い字でこう書いてある。
『
・部屋のものは勝手に捨てない
・自分の分の食費は毎月チオに渡す
・チオの部屋に無断で入らない
・家事は交代制
・チオが嫌がることはしない!
』
それを読んだ二人は沈黙する。
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