春のこと

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「冗談じゃないよ。あの人のとこなんか行くわけないじゃん」 「なら、私と二人で仲良くやりましょうね」 言葉の重みが、ずっしりとのしかかってきた。 お腹の中に石をぎっしり詰め込まれてしまったような、気持ち悪さでいっぱいになった。 その晩は布団の中でぼんやりとそのことを考えていた。 母子家庭。 何度頭の中で繰り返しても、私はその響きになじめなかった。
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