ファースト・パート

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 言ってから気付いた。やっちまったと。  このテの冗談は美花にはタブーなのだ。何故かって? 最大限利用してくるからさ。 「秀一……嬉しい」 「いや、断固として冗談だぞ」 「男に二言はない」 「冗談くらい言わせてくれよ」 「明日が楽しみ」 「聞いてる?」 「やっぱり避妊具は必要かも」 「おーい」  こんな感じだ。  まあいいや。どうせやる気ないし。  それより今は、本来の目的を果たそう。さっさと行くように美花を促す。  美花は俺の腕を捕らえたまま二階へと向かった。  どうやらアクセサリーが欲しいようだ。半年ほど前に開店した雑貨屋で、いい物を見つけたらしい。  目的地にはすぐ着いた。 「ここ」  美花が指を指す。  洒落た感じの店だった。やんわりとした照明が降り注ぐ、女の子の好きそうな雰囲気だ。客足は上々。随分と繁盛していらっしゃるね。  美花に引っ張られるように店へと入る。お目当ての商品にまっしぐら。美花まっしぐらだ。 「これ」  美花が手に取ったのはペンダントだった。  ほう。 「ペアだな」 「そう」  リングのかかったハートのペンダント。外枠と中身で二つに別れている。 「外側が秀一。内側はボク」  なんだかなぁ。
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