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しかし、ずっと親友で在り続けた。
喧嘩しても、互いに恋人が出来ても、
ずっと親友で居たのだった。
「春はまだ彼女とは倦怠期?」
「あぁ、それなら解消した。」
26歳になった春。
薫より背が高くなり、成人式もとうにすぎ、彼はすっかり大人の香りがするようになっていた。
薫は眩しそうに彼を見上げる。
「はは、大切にしてやりなよ?それに……ん、いや。」
「?まぁ良い、それ位解ってるさ。薫もパパさんを大切にしてやれ。」
「春君は良い事言うなぁ。」
「だまらっしゃいっ。」
「ママはパパに意地悪なのーっ!」
全員で暫く喋った後、手を合わせる。
薫は手を合わせ目を瞑りながら先程言い掛けて止めた言葉を頭の中で繰り返す。
大切にしてやりなよ。
人の命なんて、
儚いんだから。
...end
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