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真っ青な空の下、二人の少年が居た。
場所は校舎裏、時は鈴虫の泣き始める初秋の放課後。
彼等は向かい合ったまま、かれこれ十分は黙りこくっていた。
少年の一人、香野 春(コウノ ハジメ)はもう一人の少年に呼び出され、その場に居るのだが正直帰りたい気分でいっぱいだった。
なんせこの気まずい沈黙。
誰しもが帰りたくもなるだろう。
そして、春が「じゃ、用無いなら俺帰るわ」と言おうとしたその時、少年が口を開いた。
「僕と付き合って下さい!」
二人以外には誰も居ない校舎裏に声が響き渡る。
「は、えぇっ!?無理無理、俺ら男同士……」
「僕、実は女なんです……っ!」
えぇーっ!?何この展開!?
春は顔を引きつらせた。
しかし少年はまだ言葉を続けた。
「あと、あとっ、実は24歳ですっ!君は僕が養うから、結婚を前提にお付き合いして下さいっ!」
「なんですとぉぉぉっ!?」
春は叫ぶだけ叫んで、バタリと倒れた。
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