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「あ痛ててて」
鈍痛と共に春は体を起こした。
ぶっ倒れた時に打ち所が悪かったらしい、と顔をしかめる。
「あ、起きたかい?大丈夫?」
そして側に居た薫が声を掛けた。
何だコイツ、ずっと俺の側に居たのかよ、
春はそう思いながら辺りを見回して呆然とした。
「……アレ、ここ何処?」
そこは殺風景で、目の前に小さなデスクが見える。
春が横たわっていたのはどうやらソファらしく、丁度そのソファとデスクが向かい合うような家具の配置だ。
「部屋っつーか……事務所みたいな……。」
春が何気なく呟くと薫は目を見開いた。
「わぁ、凄いじゃないか、探偵の素質があるんじゃないのか?そうだよ、ここは僕の働く事務所。」
嬉しそうに薫は言った。
春は薫の笑顔に何となくイライラとしながら体をゆっくりと起こした。
「……んで、お前。一体何者だ?」
全く春と面識のなかった薫。
教室が辛うじて一緒なだけで、春の記憶の中には薫と言葉を交わした場面が一つも無いくらいだった。
そんな薫に告白された。
色々な意味で『告白』された。
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