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薫の『告白』を思い出していると自然と春の顔は嫌そうに歪んでいくが、全く意に介さない様子で薫はエヘヘ、と無邪気に笑った。
「僕は江戸川コナ……」
「ストォォップ!それ以上言うなっ、そのネタは駄目だ、著作権たら何たらがうるさいからなっ!」
取り敢えず危険ラインを踏み越えそうになる薫を、春はギリギリ止めた。
ふぅ、セーフ。
汗を拭うふりをしていると、薫がごめんごめん、と謝った。
「僕は時時雨 薫、探偵やってます!」
「え、何?二度ボケは要らねーよ?」
「違うよっ、本当に探偵っ!」
春は顔をしかめた。
うさん臭いな、と言わんばかりの表情に流石の薫も気付いて慌てて両手を振った。
「ほ、ほ、本当だよ?担任の大五郎の奥さんに浮気調査頼まれてるんだよっ!」
「大五郎のぉ!?あのハゲに浮気相手なんか居るのかっ!?」
春はついつい話に乗ってしまった。
ハゲで冴えない顔つきをした正に中年、と言いたくなるような風貌をした担任に浮気相手なぞ出来るのか、と単純に疑問を抱いてしまったのだ。
春の顔は明らかに引きつっている。
「うん、風俗店の女の子みたいだけどね。大五郎最悪だぁ……。で、どこまで話したっけ?」
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