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薫は物心ついた時から少年扱いされていた。
お隣りさんも女の子だと知っていても「薫君」と呼んだ。
何の因果か分からないが薫の通う小学校は私服で、勿論薫はスカートなど履かなかった。
そして、中学受験を彼女はした。
その中学校は共学で、女の子はスカートかズボンの制服のどちらかを選べる学校だったのだ。
高校は探偵業を始めたので通信教育を受けていた。
そして潜入捜査で入学した男子校で春と出会うわけなのだが。
薫は自分が少年扱いされるのを誇りに思っていた。
剣の道を歩む父には腕力が目に見えて強くなる度に褒められたし、
ミステリー作家の母には「まるで物語の主人公にでも居そうな性格ね」と喜ばれた。
その二人の言葉が嬉しかったからだろう、本当に少年らしい少女である自分が誇りだった。
もう、薫の両親は薫を褒める事は出来ないが――……
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