撃攘

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しかし米軍機の攻撃は、誉められたものではなかった。 普段、各航空戦隊の訓練を目にしている者からすれば、稚拙だと断言してもよかった。 最初に姿を現したのは雷撃機、TBDデバステーターだった。 しかし、連携はとれておらず、各航空隊がバラバラに進入し、バラバラに攻撃を仕掛けて来た。 戦闘機の護衛も無しに。 TBDは、帝国海軍主力艦攻である九七艦攻と同時期に設計、開発された機だったが、米軍自身もその性能には満足していない機だった。 機体は妙なラインを描いており、引き込み脚ではあるが、車輪は完全収納ではなく、車輪の半分余りが露出している。 そして魚雷搭載時の最大速度は300キロが精一杯だった。 そんな性能の機であるにも関わらず、彼等は艦隊に接近して来た。 彼等は、たちまち零戦隊に捉えられた。
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