撃攘

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「撃ち方始め!!」 砲術長の命の下、高角砲、機銃群が敵を阻止せんと射撃を開始する。 雷撃機を片付けた、零戦隊が慌てふためいて急上昇を開始する。 しかし、零戦隊に向かい急降下する影があった。 こちらもようやく戦場に到着したF4F。 迎撃は間に合いそうにない。 ここへ来て、米軍は初めて戦場の主導権を握りつつあった。 偶然の産物だったが。 巡洋戦艦として生を受けるはずだった船体を震わせ、傾斜させ、132100馬力に及ぶ機関が巨体を海面上に滑らせる。《赤城》は敵の魔の手から逃れようと全力を挙げていた。 対空砲は激しく唸りを挙げているが、敵撃墜の報告は入らない。 回避だけが逃れる術となりそうだった。 「敵機、投弾始めた!!」 「衝撃に備え!!」 間も無く弾着の水柱が《赤城》を覆い始めた。
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