撃攘

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他の空母と比べ、背の高い《赤城》を凌ぐほどの水柱が連立する。 着弾の衝撃に大きく揺れるが、床に叩きつけられるような衝撃は無い。 いくつの水柱に囲まれたかわからない。 しかし永遠とも思われる時間はいつのまにか終わっていた。 「只今の攻撃、本艦は全て回避せり!!」 青木の報告に、艦内が沸き立つ。 山本達も胸を撫で下ろす。 被害らしいものはなかった。 「艦長、ただいまの回避、見事。よく気付いてくれた」 山本がねぎらいの言葉をかけた。 「ありがとうございます。旗艦が傷付いては示しがつきませんから。ですが小官の判断というよりも、運が味方してくれたような気がします」 青木が汗を拭いながら応えた。 「……そうかもしれんな。まぁ、運も実力の内だよ」 しかし、運は全て日本側に味方したわけではないようだった。 見放された艦がいた。 後方から響き渡る、金属的な爆発音。 「《日向》被弾!!」
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