撃攘

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《日向》にとって不運だったのは、わずかに残存していた敵雷撃機が《日向》に向け接近を続けていた事だった。 《日向》艦長、忠岡欣一大佐を始め、見張り員達もこの雷撃機の存在に、完全に気をとられていた。 この雷撃機は、横合いから突入して来た零戦の攻撃と、《日向》の対空砲火により撃墜したが、上空から接近する急降下爆撃隊には気付かぬままだった。 付近にいた戦艦(金剛)駆逐艦(敷波)からの緊急通報を受け、ようやく事態に気付いた忠岡艦長は、取舵一杯を命じた。 しかし、31000トンの巨体に有効な回避行動をとらせるには、余りにも時間が足りなかった。 《日向》を襲った2発の1000ポンド爆弾は、《日向》を撃沈するには不足だったが、飛行甲板を使用不能とするには、十分だった。
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