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「提督、少し休まれては?」
ファラガット艦長が提案した。もっとも彼の顔色もかなり悪い。昨夜の《ワスプ》沈没時、仮眠から叩き起こされ、それ以降一睡もしていないためだ。
「いや、いいよ。どのみち眠れそうにないんでね」
カップのコーヒーを飲み干し、ミッチャーは答えた。
「……艦長、君の言ってたことは正しかったよ。我々には幸運が必要だった。………それも特大のな」
「……復讐の機会はあるでしょうか?」
ミッチャーはファラガットを見た。表情は平静を繕っていたが、肩が震えていた。
「あるさ。これで終わっていいわけがない」
言いながらミッチャーは
ファラガットの肩を叩いた。
「気が変わった。仮眠をとってくる。勝利のために力を蓄えんとな」
「では後はお任せ……」
「提督、真珠湾より緊急電です!!」
ファラガットの前を遮り、通信員が走り寄り、ミッチャーに電文を渡した。
ミッチャーは受け取ると、素早く目を通した。
内容は短かった。
しかし、内容を理解できず、何度か読み直した。
やっとのことで理解すると、今度はみるみる内に顔が紅潮していくのがわかった。充血した目も大きく開く。
「………何の冗談だ……」
「提督?」
不安げにこちらを見るファラガットを無視し、ミッチャーはあらん限りの声で叫んだ。
「何の冗談だ!!これは!!!」
電文。
『真珠湾爆撃サル。訓練ニ非ズ』
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