撃攘

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「針路、これで間違いないな?」 「間違いありません。 ひっきりなしに電波が発信されてます。アメリカさんは、通信管制って言葉を知らないんですかね?」 「なに、コイツと俺達の初陣を祝ってくれてんだろう。派手にやらねば失礼だな」 機長、大浜高次少佐と電信員、菊地平八飛曹長のやりとりに機内の各所から笑いが漏れる。 川西 一式大型飛行艇。 それが今、彼等が操っている機体の名称。 ただし、搭乗員の間では、一式爆艇の名で通っている。 高性能で軍、民間の双方から高い信頼を勝ち取り、川西飛行機を一躍、最大手の飛行艇メーカーに押し上げた、九七大艇の後継機である。 また川西が社運を賭け、自主開発した野心作でもある。
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