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港の一角、規則正しくならんだ円形の構造物、
燃料タンクにも爆弾が落下した。
直撃を受けたタンクは、どす黒い煙と、紅蓮の炎を上げて燃え盛り、真珠湾一帯を一層明るく照らし出す。
海に流れ出た、艦隊を何日も動かすことができるほどの大量の油は、青い海を黒く染め、魚や海鳥達を追い立てていく。
何千年とその場で海を見守ってきた岩は何の抵抗もできず、黒く染められた。
爆撃は、ドックにも及んだ。
定期検査のため、入渠していた、敷設艦は船台上で2発の直撃弾を受ける羽目になった。
1909年竣工。
石炭焚きの艦で、敷設部隊の旗艦であるものの、旧式のため、湾外にはほとんど出ず、『煙突に海鳥が巣をつくった』と揶揄された艦だったが、搭載されたままとなっていた260個の機雷は、旧式ではなかった。
250キロ爆弾の何十倍にも匹敵するであろう爆発が、老艦を瞬時に引き裂いた。
爆発による被害はそれだけにとどまらず、入渠していたドックを全損させた他、隣接するドックに入渠中だった駆逐艦と《ダウンズ》をドック内で横転させた。
船体を破壊された上、迫る炎に焼かれ、次第に溶解していくこの2艦が、もはや使い物にならなくなったのは、目に見えていた。
ここに至り、米軍も対空砲火による反撃を開始したが、統制がとれていない、当てずっぽうな攻撃となり、流れ弾が市街地に落下、住宅地に火災を発生させる始末だった。
攻撃は20分あまりで終了し、攻撃隊は1機の脱落機もなく、悠々と真珠湾を後にした。
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