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「索敵機より入電!敵機動部隊見ユです!!」
僅かに焦燥の色が出始めた艦橋に、電文を握りしめた渡辺が駆け込んで来たのはその時だった。
にわかに艦橋が活気だつ。
「それで発見したのは?」
「それが……」
渡辺は一瞬、躊躇う様子を見せた。
「《千代田》12号機です」
先の索敵で誤認報告を送ってきた機体だ。
搭乗員は変わっていないはず。
「……別の機からの連絡を待ちますか?」
「その必要はない」
山本は言い切った。
「上官は部下の言うことを信じてやらねばな。それに2度も敵を見つけたんだ。運のいい連中だ。その運に託そう」
「2航戦司令官より意見具申!『攻撃隊至急発進ノ要アリ』!!以上」
「5航戦司令官より『我、攻撃隊発進準備ヨシ』!!以上!!」
「……出しますか?」
山口が問いかけた。
「無論だ!第2次攻撃隊発進準備!!第1次が帰ってくるまでに全機上げろ!!」
第2次攻撃隊198機の発艦の準備が始まる。
(もしもの時は……俺が責任をとればいい)
準備を眺めながら、山本は覚悟を決めた。
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