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「馬鹿な!!」
小松は思わず声に出した。
「帰路についていたということは、もう燃料がないんだろ!?貴様らの任務は終わったんだ!!帰るんだ!!」
しかし機内で叫んでも聞こえる訳がなかった。
小松は操縦員に水偵に並ぶよう命令し、黒板や手振りを使って帰投するよう伝えたが、その水偵は決して離れようとはしなかった。
ただ、笑顔を見せるだけで。
小松は諦め、黒板の文字を消すと、チョークを手にした。
『所属、姓名知ラセ』
『我、《千代田》12号。
機長 寺井少尉 奈良出身。沢田二飛 愛知出身。
田島三飛曹 香川出身。
攻撃成功ヲ祈ル』
(寺井、沢田、田島か……貴様らのことは死んでも忘れんよ)
小松は再度、チョークをとった。
『我、敵撃滅ヲ約束ス。
感謝ス、深ク感謝ス』
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