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生きている振りをしている僕の心は
水の入った器の様
透明なら 綺麗だけど
濁っているから 綺麗じゃない
幼い頃 春の夜に見た
白い蝶は
きっと大好きな あの人なんだろう
蝶は綺麗な水しか 飲まないから
濁った僕には 近寄る事さえしないから
いっその事 永い眠りに就ければ 楽なのに
横たわったままの 糸の切れた僕は
刹那でさえある
儚い夢を見るに留まる
誰かが僕の心に投げ込んだ ガラス玉
幾つもの波紋を広げる
それは
やがて薬の様に 僕の心を蝕んでゆく
その時 微かに溢れ出した水は
きっと 涙というものなのだろう
すぐ傍で 微睡みに溶けた旅人は
僕の水を飲んだから
二度と目覚めない事を
知りながら
その指先に 触れてみたりもした
寝そべって 泣きながら
無い物ねだりをする子供
今の僕は それに似ている欲しがっているものの
本当の価値も 知らないくせに
いつの日にか
消えそうな自分の存在を
残す為
誰にともなく 綴った手紙は
今となっては 唯の駄文
滲んだインクの様に
僕も歪んでいる
今も心の中に 沈んだままの ガラス玉
このガラス玉の様に
透明なら 綺麗だけど
濁っている 僕は
あの人に 近付けない…
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