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俺がてんやわんやのパニックから少し落ち着いた頃、運命の再会はやって来た。
コンコンという病室のノック音に思わず息を呑む。ばっちゃんと先生に助けを目線で求める様に目を合わせてみると、謎の頷きが返ってくるだけで本当に何の期待も出来なさそうだ。
緊張の口調で、どうぞと言うその声が震えている。
あぁ、まずはなんて声をかけようか。元気か、いやいや、久しぶりか?何か違う気がする。
そんな事を考えてるうちにドアの向こうから声が聞こえた。
「桜田さーん。検診ですよ。」
三人とも盛大にずっこけた。
「んだよぉ。びびったぜぇ。」
マジにびびった。
まぁちょっとほっとしたが。
「じゃあ、俺達は一度出るぞ。」
「だなぁ。すぐそこ待合室で待ってるわぁ。」
別に男に見られて恥ずかしい事はしてないからいいんだけどな。
まぁ、気ぃ使ってくれる分にはいいか。
「じゃあ、桜田さん。足の具合を見ましょうか。」
「あ、はい。」
おもむろにズボンを捲ろうとすると、ギプスに引っかかってしまった。
「あれ?このっ、なんで?」
「落ち着いて桜田さん。慌てなくていいから。」
「すいません。」
よくみるとギプスがズボンの生地を噛んでるだけだった。
愛想笑いを浮かべながら、直そうとした手にたるんでいたポケットがひっかかって目の前にいる看護師さんにパンツを見せつけてしまった。
「す、すいません!」
「大丈夫で「キャッ!」」
…キャッ?
おそるおそる声がした方を見ると、ハルと何故か一緒にいる中崎 歩美が俺のパンツ姿に遭遇した。
えらく感動的な再会だ事。
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