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くそったれめ。
久しぶりに会った凄く気まずい人に何が嬉しくてパンツ姿を晒さにゃならんのだ。
慌ててズボンを引き上げるも、もう遅い。ハルは嬉しそうに俺の股間辺り凝視してるし、看護師さんはやっちまったなお前みたいな顔で見てくるし、歩美は完全に顔真っ赤だし。
なにこのカオス。
「じ、じゃあ。検診はコレで終わりですからね~。お疲れ様でした~。」
なんだかんだと処置を終わらせ看護師は逃げる様に病室を出た。
ちなみに処置中はほぼ無言だ。
「…ひ、久しぶりだな。」
「う、うん。そうだね。」
なんとかしようと声をかけてみたものの、余計に気まずい。 なんだってんだ畜生。
そんな中、歩美が静寂を破る様に口を開いた。
「あ、あの。怪我したって聞いたから…お見舞い来ました。迷惑かなって思ったけど、行かずには…いられなくて。」
彼女なりに気を使ってくれたようだ。
「いや、ありがとう。嬉しいよ、中崎さん。」
歩美なんて呼べるワケがない。もう彼女でも何でも無いんだから。
なのに、歩美…中崎さんは少しうつむいて俺に聞こえるか聞こえないか解らない程小さな声で「もう歩美って呼んでくれないんだね。」と呟いた。
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