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涙ながらに頭を下げる中崎さんを見てハルは少し落ち着いたのか「ごめん。」と小さく呟き、俺の横に隠れる様に座った。
ホントにコイツは…。俺の為に怒ってくれるだけに無下に叱る事も出来ない。
軽く頭をコツいてから、出来るだけ優しく頭を撫でると「ぅぅ~。」猫の様に小さく唸り泣いてしまった。
「ごめんな。でもコイツも悪気があったワケじゃ無いんだ。俺の事を考えてくれて、ちょっと感情的になっただけなんだ。許してくれ。」
俺が頭を下げると中崎さんは慌てて頭を上げて、俺の頭を上げさせた。
「ううん。突然来た私が悪いんだから…私のした事は絶対許される事じゃ無いし。…今日はお見舞いと、伝えたい事があって。」
「伝えたい事?」
神妙な面持ちの中崎さんは躊躇いながらこう言ってきた。
「あの時はごめんなさい。私、馬鹿で幼稚で…三治君の気持ちを踏みにじった。許して欲しいなんて言えるワケ無いけど、謝らせてほしい。本当にごめんなさい。」
身体が折れ曲がるんじゃ無いかと思う程頭を下げて謝る中崎さん。誠心誠意の謝罪とはこういう事を言うのだろう。
その姿を見ていたハルが我慢を抑えきれず声を捻り出した。
「…バカじゃん。病人にそんな事言うために来たの?アンタってホントに馬鹿だね。三治があの時どんな表情でどんなに傷付いたか知らないでさ、病人弱らせる為に来たの?」
ハルッ、と少し声をかけると、シャーと少し歯を出して威嚇する。ホントに猫みたいな奴だ。
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