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ゆっくり木蓮を横切る
「今日もしかと?」
背後から声がした
サングラスを外し、振り返る
「ごめん、ぼーっとしてた」
「やれやれ…もしかして名前も忘れちゃった?」
「ん~~」
「おぃ!」
「冗談だよ、真央」
笑いながら言う
「焦るよ…」
「そこまでボケてないよ…今日はどうしたの?」
「蓮を待ってた」
「えっ?」
「な~んてね!身内が
あそこの病院で入院してるから、お見舞いの帰り」
「そっか」
「太陽に負けたから木魚の下で休憩してた」
「木蓮だよ」
「いいんだよ」
笑いながら立ち上がる
「ホントは、昨日のお礼もしたかったから蓮を待ってたんだ」
「そんなのいいよ」
「いやいや…貴方は命の恩人ですから」
「大袈裟だな~」
「と言うことで、ランチでも行かない?」
「気にしなくていいから」
「俺は義理堅いんだよ」
「わかったよ、じゃ~、たっぷりお礼をしてもらおうかな?」
「ちょ!」
「なんてね」
「いいよ…たっぷりお礼する」
「冗談だよ」
「俺今日車なんだけど、車?」
「いや、今日は違うよ」
「よかった、じゃ、俺の車で」
「わかった」
「じゃ、行こう」
「うん」
ポケットの中の車のKeyを握りしめながら、真央と二人で太陽の下を歩いた
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