ー企みー

5/10
前へ
/95ページ
次へ
ゆっくり木蓮を横切る 「今日もしかと?」 背後から声がした サングラスを外し、振り返る 「ごめん、ぼーっとしてた」 「やれやれ…もしかして名前も忘れちゃった?」 「ん~~」 「おぃ!」 「冗談だよ、真央」 笑いながら言う 「焦るよ…」 「そこまでボケてないよ…今日はどうしたの?」 「蓮を待ってた」 「えっ?」 「な~んてね!身内が あそこの病院で入院してるから、お見舞いの帰り」 「そっか」 「太陽に負けたから木魚の下で休憩してた」 「木蓮だよ」 「いいんだよ」 笑いながら立ち上がる 「ホントは、昨日のお礼もしたかったから蓮を待ってたんだ」 「そんなのいいよ」 「いやいや…貴方は命の恩人ですから」 「大袈裟だな~」 「と言うことで、ランチでも行かない?」 「気にしなくていいから」 「俺は義理堅いんだよ」 「わかったよ、じゃ~、たっぷりお礼をしてもらおうかな?」 「ちょ!」 「なんてね」 「いいよ…たっぷりお礼する」 「冗談だよ」 「俺今日車なんだけど、車?」 「いや、今日は違うよ」 「よかった、じゃ、俺の車で」 「わかった」 「じゃ、行こう」 「うん」 ポケットの中の車のKeyを握りしめながら、真央と二人で太陽の下を歩いた
/95ページ

最初のコメントを投稿しよう!

732人が本棚に入れています
本棚に追加