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「美冬…今日はいい天気だね」
一言も話さない
機嫌が悪いな
「そんなに壁ばかり見つめていたら壁に穴が開いてしまうよ」
「蓮は知ってたんでしょ?」
よくやく話をする
「何を?」
「私が…一生この部屋から出れない事を」
「えっ…?」
初めて聞く話だった
「知らなかったの?」
「うん…今初めて聞いた」
動揺して心臓の音が
聞こえてしまいそうだ
「私…今日、偶然聞いちゃったの」
「何を?」
「私の壊れた心臓は、移植するしか助からないって」
「移植…」
「わかるでしょ?日本では出来ないのよ!だけど、アメリカに行くようなお金もない」
「美冬…」
ようやく話が理解出来た
そっか…
美冬は籠の鳥
大空を飛びたくても
羽ばたく羽根がない
「蓮は…私を見捨てたりしないよね?」
「当たり前だよ」
「いつまでも、傍に居てくれるよね?」
「もちろんだよ」
美冬の絶望を少しでも
軽くしたい
この時は本当に
そう思っていたんだ
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