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次の日、もう歩く力もない真央を抱き上げ、車に乗せた
都会にはまだ雪はない
俺が見せたい雪は
汚れた雪ではなく
真っ白な汚れなき雪
「大丈夫?」
「うん」
返事をするのも
やっとの真央
手をにぎりしめながら
雪を目指す
「寒くない?」
「うん」
「もうすぐだから」
「うん」
小さな声で返事をする
あんなに元気だった真央
が今は隣でぐったりしている
最初の頃に真央が言いかけた言葉を思い出す
(お金があっても…)
その言葉の意味が
今なら理解出来る
お金があっても
命は買えない
もちろん愛も買えない
真央は幸せだったかな…
俺と知り合って
幸せだったかな…
俺は幸せだったから
真央も幸せだよね
「真央」
「うん」
大丈夫
まだ真央はここに居る
お願いだから
もう少し頑張って
「雪…」
「綺麗…」
「うん」
真っ白な雪が空からおりてくる
まるで俺達を歓迎しているように
「綺麗だね」
「うん」
この雪を見るのも
最後だな
でも最後の雪を
真央と二人で見ることが出来て幸せだよ
真央もそう思って
くれてるよね?
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