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「乗って」
ドアを開けて真央を乗せた
「ん?演劇の本」
後部座席に置いてあった
本を見ながら言った
「ああ…散らかってるのは気にしないで」
「気にしないけど、蓮は何をやっている人?」
その質問が1番痛い
「バイトをしながら…」
「しながら?」
「役者を目指しているんだ」
大体はみんな(役者)と聞いて笑い飛ばす
やめておけ!
そんなのは夢だ!
聞き飽きた言葉だった
「すごいね!」
「えっ?」
予想外の返事に戸惑う
「役者かぁ~、大変だけど頑張ってね」
「あ…りがとう」
真央は演劇雑誌を読みながら、頷いていた
何だか嬉しい
だけど…もう役者になるのは諦めるつもりでいた
美冬の為に…
いつまでも、夢を追っていてはいけない
「どうしたの?」
真央が雑誌を閉じながら
言う
「いや…」
さっき知り合った奴に
話をしても仕方がない
「悩み事?」
「違うよ」
「ふ~ん」
「この辺かな?」
「あっ、うん…あれが
俺の家」
そう言って指をさした先には…
「凄いマンションだね」
超…が付きそうな
高級マンション
「金があっても…」
「ん?」
「いや、何でもない…
今日は本当にありがとう」
「いや」
「じゃ、気をつけてね」
「ああ」
真央は車を降り、マンションに向かい歩いて行った
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