3

9/11
前へ
/32ページ
次へ
 「俺が説明しようか」  「ロイム、起きてたのか」  「こんな馬鹿でかい音出されちゃおちおち寝てられないっつの」  音?ロイムは確かに今でかい音と言った。でも、部屋は相変わらず静かだった。  僕が顔をしかめていると、  「お前には聞こえないよ」  「え?」  「この部屋は今四つに分かれてる。一つはお前らの、もう一つはお前と俺らの、次に俺らの、そして最後はあの三人の空間」  一本ずつ指折り話してくれてるけど、うまく理解できない。  「お前らの空間にはお前らが存在してる、つまり本来の空間だ。だから俺たちはこっちの人間を見ることは出来ても、触れることは出来ない」  「でも僕には触れてる」  「話は最後まで聞けよ。だから二つ目のお前と俺らの空間がある。お前だけは俺らに触れるし、俺らもお前だけには触れる。三つ目の俺らの空間ってのは、つまり本の中の状態。だから俺らはこっちが夏でも長袖で平気なわけだ。ここまでは分かったか?」  「んー…微妙」 ある程度は分かったけど。なんとなくクロトをみると、肩で呼吸をしていた。
/32ページ

最初のコメントを投稿しよう!

4人が本棚に入れています
本棚に追加