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 「ここ……何処だ?」  砂漠のような景色が広がる寂しい場所。初めて見る風景の筈なのに、どこか懐かしい感じがした。見たことがあるような鉄の塊が転がる砂の道を、キョロキョロと見回しながら歩いていく。先程から、自分以外人を見ない。  「あれ、夢か」  まだ眠気の残る頭で右手を動かし目をこする。ベッドの上にパジャマ姿で座っていて、夢を見ていたことに気付く。右手側には大して入っていない本棚と、左手側には窓と勉強机、何時も出入りするドアが見えた。ここは確かに僕の部屋だ。  「でもこの夢、どこかで……」 未だに回転の遅い頭を働かせて考える。鉄の塊、自分以外誰もいない殺風景な場所。  「あ、昨日の本だ」 やっとのことで思い出し、本棚から一冊の古ぼけた本を取り出した。これは昨日、古本屋に行ったときに見つけたもので、なんとなく興味をひかれたので購入してみた。これがなかなか面白く、一気に読み終えてしまった。
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