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夕飯の準備をしに下へおりていくと、電話が鳴っているのに気付いた。パタパタと音をたてながら電話の置いてあるダイニングへと向かう。  「はい、生部(キベ)ですが」  『あ、アキラ?母さんだけど』  「ああ、どうしたの?」  『母さんたち忙しくてなかなか電話出来なかったでしょう?だから心配で』  母さんは昔から心配性だ。そんなに心配するくらいならほっとかなきゃいいのに。  『ちゃんと食べてる?お洗濯もちゃんと…』  「大丈夫。ちゃんとやってるから。もう子供じゃないんだし平気だよ」  『そう、良かった。アキラがしっかりしてるから母さんたち助かるわ』  「アメリカはどう?」  『いい所だけどやっぱり忙しいわ』  「そっか。今から夕飯の準備しなきゃいけないから切るよ」 次の返事を待たずに電話を切った。電話の向こうで何だか機嫌がわるそうな父さんの声がした。多分母さんが僕のことをしつこく言ったのだろう。父さんは短気だから。  「散歩行くぞ、チョコ」 一気に食欲をなくしてしまい、準備する気も失せたので今日の夕飯はなしだ。少し長めに散歩しよう。クロトでも連れていこうかな。  「散歩行ってくる!」
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